広島高等裁判所 昭和59年(う)56号 判決
原判決が原判示第二の二の関係で挙示する証拠を総合すると,(1)昭和57年11月14日の午後,被告人が舟入ゴルフガーデンで柳秀雄(以下柳という)と会ったとき,同人が「18用意しておいてくれ,ほかにも10丁ぐらい要るかもわからん,15日河原の放免祝いがすんでから大阪へ行く。」というので,被告人はゴルフ場からサン商事事務所に電話をかけ,山本五十太郎(以下山本という)に対し「28用意しといてくれ,今から行くけえ。」と伝え,同日午後自車を運転して右事務所に行ったこと,(2)事務所には山本と加藤忠昭(以下加藤という)がおり,被告人は右両名に「向うはもう18丁要るというとる,それからあと10丁売れるかもしれん。」旨を話し,右両名においてけん銃を念入りに点検して28丁を選びだし,山本がこれに実包約700発を加えたうえ,けん銃18丁,実包約450発を一つのビニール袋に,けん銃10丁,実包250発(以下けん銃10丁等という)を別のビニール袋にそれぞれ入れ,この2袋を一つの買物袋に入れて被告人の車のトランクに納めたこと,(3)被告人はその場から自車を運転して柳の家に行き,同人を介して密売するため,けん銃18丁及び実包約450発入りのビニール袋を同人に渡し,その際同人から「あと10丁要ることになったら電話するけえ。」と告げられ,別のビニール袋に入れていたけん銃10丁等は同人の連絡があるまで被告人が保管することにし,そのまま自車のトランクに入れていたこと,(4)翌15日,被告人は右けん銃10丁等を包みかえて,自車のトランクから運転席後部の座席下に置きかえたりしたが,自己の留守中に柳から電話があったことを知り,同月16日午前零時過ぎごろ,内妻大村るり子方から大阪にいる柳に電話したところ,同人が,あと10丁持って来てくれ,といったので,保管中の残余のけん銃10丁等を被告人が同日9時14分広島発の新幹線に乗って持って行き,柳が新大阪駅のホームまで迎えに出ることにきめたこと,(5)被告人は右約束に従い,けん銃10丁等を持って同日朝広島駅に赴いたが,けん銃等を発見されて結局同所で逮捕されたことが,それぞれ肯認できる。そして,右(2)のサン商事事務所におけるけん銃28丁,実包約700発(以下けん銃28丁等という)の所持(被告人,山本,加藤の共謀)が原判示第二の二の事実であり,右(5)のけん銃10丁等の所持(被告人,山本の共謀)が原判示第一の四の事実に該当することは記録上明白であるが,前認定事実に照らすと,所持したとされる場所等が異る点を考慮しても,けん銃28丁等の所持(原判示第二の二)と,その一部であるけん銃10丁等の所持(原判示第一の四)とは,包括して1個の所持と認めるのが相当である(換言すれば,けん銃10丁等の所持はけん銃28丁等の所持に含まれており,別個独立の所持とは認められないということである。)。